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2014年03月08日

『デビルマンG』高遠るい 

 言わずと知れた永井豪『デビルマン』を原案に、素材を大胆に再構成したリメイク作品が全五巻で完結。

デビルマンG 1 (チャンピオンREDコミックス)
デビルマンG 1 (チャンピオンREDコミックス)

 明と美樹(アキラとミキ)が不良にからまれて、了に助けられるのは、明をデビルマンへいざなう重要な場面だけれど、本作ではからんでくる不良の中に、テレビアニメ版デビルマンの飛鳥了バリエーションと言っていい氷村巌≒火叢アスカが紛れ込んでいる。これだけで、原作とはずいぶん違う展開になることが予想される。早い時点でヒムラーを出してきたことは、今後も飛鳥了を出さないという強い意志のあらわれだろう。了が出ると、物語がすべて明と了との間の関係に還元されてしまうので、彼を排除することはリメイクに当たって必要なことだったと思われる。なお、かっこで括ったように、元になったキャラの名前もオリジナルとは違っている場合があるので注意。

 それでは明の変化はどのように起こるのかというと、魔女気取りの痛いミキちゃんが悪魔召喚の手続きを行った結果のアクシデントとして。ここで原作終盤のセリフの順番がシャッフルされて「魔女じゃない、魔女じゃ……」という力ない否定の言葉から、「わたしは魔女よ、なめるな!」と逆転していく。この改変は、少女を生贄に捧げたりしないという著者の言葉をストレートに反映したものだろう。あ、ここにミーコのズベ公仲間の三人組が絡んでくるんだけど、基本的にキャラクターデザインは豪ちゃん準拠の本作で、この子たちだけヘアスタイルを残しながらもそれなりに可愛くデザインし直されてるのが面白い。性格も変わってるんだけどね。

 一方、召喚されたアモンが不動アキラの体を支配したという形になっているこの関係はアニメ版に近く、設定部分に関しては、永井豪マンガ版(原作とは言わない方がいいだろう)を絶対的に準拠するオリジナルとしては扱わないという姿勢も特徴的だ。

 中盤で大柴ソウスケ(壮介)が登場していた『魔王ダンテ』の要素も、終盤からは物語是の根幹に関わるほどに強く入ってくる。空宜リョウ(宇津木涼)は本作ではダンテではなくゼノン様の姿を取るのだけれど、アキラをさしおき、彼がデビルマン軍団を率いてデーモンと戦っていく姿には興奮を抑えきれず、ひょっとしたらありえたかもしれない『魔王ダンテ』を見せてくれる。

 そして、さまざまな永井豪作品から無節操と言えるほどに要素を取り込んでリミックスした本作だけれども、魔法少女からデビルマンの魔法剣士へとクラスチェンジしたミキが平手美樹として物語に決着をつけるまで、所期の目的を貫徹した展開は見事なもので、『デビルマン』というハードルのあまりにも高すぎる困難な原作のリメイクに成功したと言えるだろう。

 というわけで、作品に投入されてる情報量が多すぎて、全然感想がまとまらない。一巻出るごとに書くべきだったかなーとちょっと後悔。キャラ語りに入らせてもらうと、『バイオレンスジャック』の用心棒の先生がチョイ役で出てきたのが嬉しいところ。戦死するのだったら、ユリ姉は炎に包まれながらがよかったかなぁ。ミーコが幸せになる結末というのはよかったですね。あと、メリケン錠ファンも必読の展開がありますよ。一方では知らない元ネタも多くて「闘神デビルマン」とか「デビルマン戦団」とか知りませんでしたよ。有名キャラではサイコジェニーが美味しい役どころでしたね。あと、アグウェルの活躍も多いですな。

 デビルマンの二次創作的な作品では、準拠するマンガ版のサイドストーリーや後日談という形を取りながらも、マンガ版の存在のあまりの大きさから、肩に力が入りすぎているように見受けられるものも少なくない。しかし、本作は不謹慎と言われるかもしれないレベルまで個別の要素にばらしてからの再構成を試みており、しかもそれが要素のみのパロディに終わらず、全体の構想にのっとっておこなわれているあたり、最近の若い人は頭がいいなぁと感心しました。こういうアプローチがありうるのか。原典のファンにこそ読んでみてほしい作品です。そのことで、あらためて『デビルマン』というマンガの途方もない力を再認識できると思うんだよね。

デビルマンG(4) (チャンピオンREDコミックス)
デビルマンG(4) (チャンピオンREDコミックス)

デビルマンG 5 (チャンピオンREDコミックス)
デビルマンG 5 (チャンピオンREDコミックス)
タグ:永井豪
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posted by すける at 09:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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