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2015年04月02日

『魔法使いディノン2 闇と炎の狩人』門倉直人

 魔法使いディノンシリーズの完結編。

闇と炎の狩人 (ゲームブック 魔法使いディノン2)
闇と炎の狩人 (ゲームブック 魔法使いディノン2)

 今回は地方領主の屋敷の中に潜む敵を探し出して指定した上で対決するという謎解き要素の高いつくりになっています。ディノンは開始早々姿を変えて名前を隠しと、アイデンティティの揺らぎやすい主人公だなぁ。敵を倒したあとの選択については、一巻をプレイしてきたならば何を選ぶべきか予想がつくけれど、バッドエンドに近い選択肢にも、一巻で提示された課題へ回帰するなどの興趣があるのでしっかり読んでおきたいところです。

 話題になることの多い隠しパラグラフについては、不安を感じていたとおり、自分の力では復刊分の後書きでのヒントを読んでもいまいちたどり着けず、結局フローチャートを作って総当たりでつぶして流れから引き出されないパラグラフを特定するという案力押しのプレイをすることになってしまいました。特定して、やっと自分の読み違いに気づくという情けなさよ。それにしてもこれはディノンの世界を構成する、TRPG『ローズ・トゥ・ロード』のユルセルームについての知識があった方がより感慨深かったのかもしれないなぁ。

 ところで、著者インタビューで門倉氏は、フラグの役割を果たしていることが多いミスティックマークのより深く設定された意味について「だいたいの”感じ”は、つかめているんでしょう? そのほうが、むしろ大事なんじゃないかと思いますよ」と述べていますが、これはミスティックマークだけではなく、作品全体にもあてはまることではあるでしょう。それは復刊によせられた「象徴性を高め世界に謎をのこしておく」という言葉と対になるものではないでしょうか。「埋めきれない解答という隙間をのこした謎」の提示こそが豊穣な読みを開いていく、そのような可能性を提示したゲームブック二部作の見事な終幕を味わわせていただきました。門倉直人作品集といったものがまとまってもいいんじゃないかとつくづく思いますね。
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posted by すける at 13:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | ゲームブック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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