2011年10月07日

日曜夜の寂しいラジオ

(註 2009年に別のところに書いたものの転載なので、2011年現在ところどころ状況が変わってます)

 深夜放送者にとっては、日曜日の夜は憂鬱だとは直前の日記で書いたことだけれど、あびゅうきょも「はみだしマンボウ漂流記」(『あなたの遺産』所収)で同じことを書いていて、同病の人を見つけると嬉しくなってしまう。

あびゅうきょ作品集(2) あなたの遺産 (バーズコミックススペシャル)
あびゅうきょ作品集(2) あなたの遺産 (バーズコミックススペシャル)

 劇中使われているラジオはたぶん松下のRF−B60。番組名としてはラジオ大阪の「ぬかるみの世界」があげられている。知らないタイトルだったが、ウィキを見ると関西圏では有名な番組で、二時半くらいまで放送していたらしい。

 放送期間はぼくが深夜放送を集中的に聞いていた時期とかぶるので、番組名を知らないまま聞いていたことがあるかもしれないなぁ。日曜のこの時間なら大阪の放送も関東に入っていた。

 というわけで、日曜の夜が寂しいという感覚は非常に信用できるので、あびゅうきょの日記でラジオ関連のものを読む。この人の日記はバランスの良さと悪さが混在している感じでドキドキするものがあるんだけど、ラジオについてはほとんど同意。

 05年3月7日の日記では今は昔のニッポン放送株取得をめぐる騒動がとりあげられているけれども、ラジオは「いずれ消え去るメディアなのかもしれぬ」といいつつも、ネットの特性をラジオが取り入れることはラジオの死でしかないと断じる姿勢は、なぜか当時メディアではほとんど言及されることはなかった気がする。当事者も報じるがわもラジオのことなど本当はどうでもよかったのだろう。

 しかしながら
大気を介して世界中に飛んでいくラジオ電波は、地球環境の気紛れとシンクロし、場所や時間によって可聴範囲が目まぐるしく変化する。ノイズの中から僅かに聴こえるDJの声や音楽に耳を傾け、思いを馳せる事が出来るツールはラジオしかない。/この偶然性がある意味貴重なのだ。

 とあびゅうきょが言うように、ラジオを聞くというのは毎回毎回に賭けのようなところがあって、特に一分ごとにチューナーを微妙にいじりながらノイズをかわし、どこともしれぬローカル局のパーソナリティの声を拾うというようなことをしていた人間からすれば、ネットラジオなら混信やノイズもなくクリアな音で聞けますよなどという物言いには「人間をバカにしてくれるなよ」と思うのだ。バカは私なんだろうけど。



 それにしても、あびゅうきょのこの一月分の日記、家電関係の記事がぶっとんでいて、1月15日づけの日記では、レーザーディスクの製造中止に触れつつ(ってゆーか、今までとにかくも製造を続けてたなんて知らなかったよ、私)

「だからLDの次世代媒体DVDだってすぐになくなるだろうと疑っているから未だにソフトを買ったことすらない。
だがビデオレンタル屋に行くとビデオテープなんて何処にもなくほぼ全てがDVDに入れ代わっている。仕方なく安いプレーヤーを買ったのだが部屋にあるテレビが1979年製でビデオ入力端子がない。
仕方なくビデオデッキから入力して無理矢理再生しているが何だか画面が歪んでいる。
どうにも納得がいかぬ。これが最新映像メディアか?」

 と書いている。頭の中で配線を再生してみて笑ってしまった。ゲーム機でもファミコンは同軸ケーブルだったが、スーファミではもうビデオ端子入力だよね。

 22日分の日記は「現在使用中の1999年に購入したパワーマックG3であるが、背面に音声出力端子があるのに最近気が付いた。/ステレオミニジャックだ。/パソコンからじっくり音を聴くケースは殆どなかったのだが録音したい媒体もあったのでこれでやっとエアチェック出来る。/ミニジャックからコンポのアンプ入力端子に繋いでみるとちゃんと音が出てきた。

これでカセットテープに撮っておける。

そんなのパソコン内でファイルにして保存しておけばいいじゃないかとも思えるが、やり方が解らない。それに音、動画共々OS8.6ではアプリケーションが対応していない。」

 というわけで、これ、ばっちり2009年の日本で起こっていることなのだけれども、わたしもあびゅきょを笑っている場合ではなく、地上波デジタルに全面的に移行した際にはテレビ局や家電屋が煽るようにテレビを買い換えるのではなく、いっそテレビそのものを断念することが有力な選択のひとつになっている(2011年註 「断念しました」)。

 あびゅうきょは「録音媒体は未だカセットテープが現役でTDKのAE90を愛用している。」と言っているけれど、僕も古いカセットテープはいまだに抱え込んでいて、MP3にでもしてしまえばいいようなものなのだが、めんどくささもあって手をつけていない。言い訳すれば、伸びたり切れたりするテープ以上にデジタルの記憶媒体を信用していないというところもあるのだけれど。

 だからEUROXの「星の一秒」や「ガリアン・ワールド」なんかもいまだにカセットテープで聞いているしだい。特に不便を感じたことは無い。

 そんなこんなでラジカセをいじる機会が改めて増え始めてはいるのだけれど、実際にはこの年になると聞いて楽しめる番組はなかなか無いなぁというのが悩みどころ。「ラジオ深夜便」というまでには達観していないんだよね。「五木寛之の夜」復活を希望します。
タグ:ラジオ
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深夜の友は真の友

 実家の棚をあさると、深夜放送のエアチェックなんかがゴロゴロ出てくる。「大橋照子のラジオはアメリカン」とか大槻ケンヂ、伊集院光のオールナイトニッポンなんか。

 しかし、ANNのような二時間番組の録音というのは悩ましいところもあり、まず120分テープを使用するか、90分テープにするかで、選択をせまられます。
 120分テープを使えば録音作業は簡単ですが、テープ自体の安定性がやや弱いため長期保存にはあまり向いていません。

 しかし90分テープの場合には番組のどこかをカットしなければならない。標的になるのはCMやパーソナリティと関連のない楽曲などになりますが、これで30分ぶんをクリアできるかは、わりとギリギリの戦い。しかも番組本体までカットしたりしないように緊張も強いられます。ポーズボタンにつねに手をかけた状態。

 カセットをひっくり返すタイミングも勝負どころで、テープの両端には数秒間にわたる録音不可の部位があるため、ここで時間を費やさないようにカセットが止まる少し前にすばやくひっくり返さないといけません。テープの残量を視認しながらギリギリのところで遅滞なく動き出す必要があります。
 あぁ、なんというトリビアルで汎用性のない技術をみがいていたことか…(嘆)

 しかし、あらためてエアチェックを聞いてみると、CMも時代を感じさせる重要な要素だったことに気付きます。「ラジアメ」に入っているナムコのCMなんてやっとファミコンが普及しはじめたころ。いやはや。

 そういえば、ぼくの深夜放送デビューは「大橋照子のラジオはアメリカン」で、こういう人はわりと多いらしい。僕の地域では圧倒的にTBSの受信状態がよく、なんとなく合わせておくには最適で、そのままの流れで聞いてしまったのだと思う。文化放送はちょっと合わせづらく「アニメトピア」(三代目)くらい、深夜じゃないけど。あと、「セイ・ヤング」(さだまさし)か。

 当時、日曜日のTBSというのは「山口洋子 その人を愛せますか」「五木寛之の夜」「大橋照子のラジオはアメリカン」「クロのシネマアップ」だったろうか。

 ラジアメを聞くついでに、すべて聞いていたのだが、五木寛之のオープニング「今日できることは明日に延ばして」という言葉を真に受けた小学生は結局こんなことになってしまったわけだ、あぁ。「哀しみのフローレンス」聞きたいなぁ。

「クロのシネマアップ」が終わるのが深夜二時くらいで、日曜は早めに放送終了。他のキー局もだいたいこんな時間で終わっていたと思う。シネマアップのエンディングで、また月曜がはじまる、学校に行かなきゃいけないんだと思い、当時は憂鬱な気分になっていた。
 未練がましくも、もはや受信状態などかまわずチューナーを微妙に動かして、さらに遅くまで放送を続けている地方局なんかを探したりもしたけどね、スピーカーに耳をくっつけて、ラジオの奥からかすかに聞こえてくる東海や大阪からの声をひろっていたりしたな。よくよく聞いてるとさっき聞いたばかりのラジアメが時差をおいて放送されていたなんてこともあったように思う。

 あぁ、あと深夜放送といえば、やはりTBS「景山民夫のスーパーギャング」。軽妙なトークを息つく暇もなくしゃべりまくり、すごく頭のいい人だと思っていたので、あちら側の住人になってしまったときは悲しかった。オープニング「やつらを喋りたおせ」は景山民夫自身がうたっていて、頑張ってロックしてるという感じが好もしい。

 懐かしさに、深夜放送関連のことを調べていたら、いまさらながら芳賀ゆいの中の人(歌担当)が判明。つーか、いまだにトークの人とかは判明してないのか。そんなこんなで、ちょっと「はにわちゃん」なんかも気になったり。あぁ、「伊集院光のオールナイトニッポン」川崎球場の回を録音している人には聞かせてほしい。あれ、録音できなかったんだ。「降ってわいたような『シピン』コール」、な。

みんな正気です―「大橋照子のラジオはアメリカン」リスナーズ・ジョーク集
みんな正気です―「大橋照子のラジオはアメリカン」リスナーズ・ジョーク集

タグ:ラジオ
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2011年10月06日

たかさき

 ここのところ、高崎に二回ほど行ったのでそのまとめみたいなものをざっと。

高崎シティギャラリーの小川未明絵本原画展の展示が、『眠い町』や『電信柱と妙な男』などいい作品がそろっていて、なかなかよかった。入場無料だったので、かわりに『金の輪』(画:吉田稔美)と『赤い蝋燭と人魚』(画:酒井駒子)の絵本買ってしまった。

 未明のことをそれほど知らずに見にきていたらしい主婦の人たちが、「けっこう怖い話なのね」と同行の人たちと話していたのがいい感じ。


 高崎行ったついでに栄寿亭で和風だれのかつ丼食べて、日本一でかき氷食べて、帰りに登利平の鳥めし弁当買う。高崎の食事というと、だるま弁当というイメージしかなかったんだけど、面白い店が多くておどろいた。正直な商売をしてる店が多いという感じ。

 街中をふらふら歩いていると、シネマテークたかさきが、「山本政志ウィーク」をやるという。『ロビンソンの庭』や『てなもんやコネクション』は見直したいし、『闇のカーニバル』は未見である。『てなもんやコネクション』は見返したかったし、『ロビンソンの庭』はいろいろ引っかかっていることも多かったので、気になる。『てなもんや』と『ロビンソン』は交互に隔日での上映というのがやや痛く、二日間高崎にいないといけないのだが。

てなもんやコネクション [DVD]
てなもんやコネクション [DVD]

ロビンソンの庭 [DVD]
ロビンソンの庭 [DVD]


 しかし劇場で『てなもんやコネクション』を見たいという誘惑にさからえず、後日シネマテークたかさきに向かう。新井令子は可愛いなー。初恋の女の子に似てるという補正がかかってるのはあるが。空前絶後の二人一役とか、本当に無茶苦茶。初見時は気づかなかったんだが、釜のラジカセ兄ちゃんはランキンタクシーであった。

 高崎何度も往復するのもめんどくさいんで、そのまま安いビジネスホテルに泊まって、翌日『ロビンソンの庭』。
 ギブスンの『ヴァーチャル・ライト』は、サンフランシスコのベイブリッジがスクウォットされた世界が舞台。初見の中学生の時には気づかなかったが、『ロビンソンの庭』もスクウォットの話だったわけだ。スクウォットについての日本語文献は、『Actual Action』誌に掲載されたものが優れていたんだが、あんなもん誰も読んでないだろうと思いつつ検索かけたらアナキズム総合スレの書き込みの出典として記されていて、苦笑い。

 クミは都市の隙間で見つけた空き家で家庭菜園を始めるわけだが、単純な都市と自然の対比ではなく、空き家に逃げ込むことで健康で本質的な生活をおくれるようになるわけではないというのがよくできたところ。庭に同調するにしたがって、クミは顔色が悪くなり体調を崩していき、言動があやしくなる。
 やがて菜園はいくら抜いても増殖し続ける雑草に蝕まれ、クミが家に人為として施したペインティングや屋上の装飾は嵐の日に崩れ去る。クミがさらわれやすい人物だというのは冒頭で友人の姿を一瞬見失うところであらわされていて、終盤、死んだ祖父の幻影を見るのはとどめ、というところはある。それでも、なお「庭」のリズムに同調したいと思わせるところがあるのが映像と音楽の美しさ。

 たしか『ロビンソンの庭』について知ったのは『OUT』の映画欄で、アニメ誌が山本政志の作品を紹介するなんて時代があったのだ。担当がGさんの時だったかな。中学生でテレビの深夜枠で放送したのを見たときにはよく分からんという感じだったが、今になるとクミの生活がよく分かる。「反戦」と書いたシャツ着た人が喧嘩っ早いとか笑ってしまうわ。

 シネマまえばしでは『フィッツカラルド』やるっていうし、群馬はあなどれん場所。ただシネマまえばしは、入っているビル内への美術館の開設工事を機に、通常の上映を停止している状態で、工事が休みらしい週末に特別上映を行っているという状態だとか。頑張ってほしい。


 『てなもんや』と『ロビンソン』のあいまにぶらぶら歩いて高崎の古書店をのぞいたら、シェパード『緑の瞳』が50円均一の棚に出ていて買ってしまった。ほかにも『果しなき河よ我を誘え』や『地球人よ、故郷に還れ』、『 ブラッド・ミュージック』、『断絶への航海』、『弥勒戦争』なんかが50円。
 持っていてもつい買いそうになってしまったが、高崎にやがてあらわれるかもしれないSF少年のために我慢して、実際買ったのは秋水の『社会主義神髄』と『帝国主義』だった。200円と400円で手ごろな値段。 本当は『兆民先生・兆民先生行状記』が読みたいんだが、これは店舗で見かけたことない。目録に当たればすぐに出てくるけどね、これはなんとなく店頭で当たりたい本。秋水の漢文調から大杉の口語体へってのはわりと気になってること。


 2000年の中村市議会の「幸徳秋水を顕彰する決議」も相当な覚悟だが、秋水について強く印象に残ってるのは、たしか80年代後半、柏木隆法の文だった思うけれど、高知に行って地元のおばあさんと話をしていたところ、「この辺の偉人といえば、坂本竜馬さんと幸徳秋水先生で」という挿話。土地において、どのように幸徳秋水という人間が受け止められてきたか、いかなるアカデミックな記述よりも重いものがあった。

 あと、メロブ高崎店で、ペーパー入りの、つばな『第七女子会彷徨』4巻買った。これ面白いよね。


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posted by すける at 19:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする