(映画公式HP)
で、これはつらくないケン・ローチ。冒頭、スコットランドのボンクラたちが次々と裁判で社会奉仕の判決を受けるシーンが流れるけれど、個人的なトラブルだけではなく社会が抱える問題をバランスを取りながら見せている。
レールを外れたらやり直せないどころか、もはや最初からレールに乗ることすら出来ない人生の若者、そしてそのような社会関係の再生産。
現実がこんなにうまくいくわけはないという批判もあったようだし、それは決して間違いではないと思いますが、ケン・ローチだからこそ、この時期にこのような話を描きたくなったというのは分かる気がします。
ポール・ブラニガン演じるロビーが物語開始以前に犯した暴力事件には弁護の余地がなく、消えることのない後遺症を負った被害者の観点から見れば、ハッピーなエンドというのは到底受け入れがたいでしょう。というよりも、実際とてもきれいにまとまっているとも言いがたく、ロビーたちの取った手段についても一部、作品への倫理的な批判を呼び起こしたりしていてるのですが、むしろ、その辺にこそ真の閉塞感が描写されているのではないのかな。素直に感動できないってのは当たり前の話です。その意味では「社会問題の解決のヒントがここに」的な肯定と、「主人公に感情移入できない」という否定はともに映画を読みそこなっているんじゃないかと思いますね。コメディの風味が強いだけに、誤解される余地が多くなっているのですが。
本物のスコッチウイスキーの権威だというチャーリー・マクリーンの登場するシーンは和やかな中にも雰囲気があります。ワインのテイスティングみたいなものは映像でもよく目にする機会がありますが、ウイスキーではあまり見たことないので興味深かったです。オークションのバイヤーを代行するロジャー・アラムの存在感も強烈で、こういった大人と若いボンクラが並んで絡む絵面も対照的でなかなか面白い。
あと、見学しに行ったウィスキー蒸留所見学で案内してくれたお姉さんのおっぱいの大きさも隠れた見所です。ボンクラたちも「ムチムチしてるな!」と興奮していたんですが、こいつらとは友達になれそうですね。
銀座テアトルシネマは、この映画をクロージング上映として閉館ということで、シネパトスに続いて銀座から映画館がひとつ無くなってしまうわけですけれども、連日満席が続いているようです。5/31まで。
天使の分け前 [DVD]
タグ:ケン・ローチ
![天使の分け前 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51KVSM53scL._SL160_.jpg)

