
復活するはわれにあり
個人的には『日曜日には鼠を殺せ』は冒険小説として読んでいたし、『神獣聖戦 Perfect Edition』の加筆分、とりわけ「ディープ・サウンド・チャンネル」 については、往事の山田正紀冒険小説テイストが濃厚だった。ブランクはあってもこの方面での筆がまったく衰えていないことは明らかで、冒険小説の新作執筆を期待していたのだ。
「冒険小説の山田正紀」のキビキビした文体がとても気持ちよくページを進めることを促す一方で、扱われるモチーフは山田作品で繰り返しあらわれるものでもある。蠍の寓話は『翼とざして アリスの国の不思議』、地下からくみ上げる熱量という舞台の精神的背景についての言及は『地球・精神分析記録』といように。ミステリやサスペンスもので追求されるこれらのテーマは、最終的には『弥勒戦争2』で統合されるのではないかという予感を抱いているのだけれど。
そして、なによりも登場人物たちの行動原則が、涙が出るほどに反時代的であり、虚妄であるがゆえに理想にかけて、大きなものに抗い死んでいく。これこそが山田正紀だ。
山田正紀の冒険小説をやや乱暴ながら二つの系統に分けるとすると『復活するはわれにあり』は「謀殺の〜」からの流れに含まれるだろうけれど、こうなると秘境もの冒険小説の新作も読みたくなってくる。『ツングース特命隊』『崑崙遊撃隊』『魔境密命隊』!いまだから書ける舞台もあるのではないかな。
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